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失敗から学ぶ!「データ分析あるある」な間違った見方――数字の罠にハマらないために
「データは嘘をつかない」と言われますが、間違った見方をした人は間違った結論を出します。特にECサイトの運用現場では、日次の売上やCVR(購入率)、広告指標など数字が豊富なぶん、 データの解釈上の失敗 も起きやすいものです。今回は「データ分析の間違い」「データ解釈の失敗」「ECサイトのデータあるある」「数字の罠」を軸に、ありがちな誤読パターンと、明日からできる回避策をまとめます。
あるある1、売上が上がった=施策が当たった、と思い込む(相関と因果の混同)
ECのレポートで最も多いのがこれです。たとえばメルマガを配信した翌日に売上が伸びると「メルマガ効果だ!」と言いたくなります。しかし実際は、給料日、季節要因、競合の品切れ、SNSでの自然拡散など別要因が同時に起きているかもしれません。
数字の罠 は、「一緒に起きただけこと(疑似相関)」を「原因」と誤認する点にあります。
回避策
- 前週同曜日・前年同週など「基準」を決めて比較する
- 可能ならABテストやホールドアウト(配信しない群)を作る
- 施策前後だけでなく、同期間の外部要因(セール、天候、祝日)もメモする
あるある2、CVRだけ見て改善した気になる(分母の変化を見ない)
「CVRが上がった!」は一見よいニュース。しかし、流入が激減して「買う気の高い人」だけが残ればCVRは上がりやすく、広告で新規を大量獲得するとCVRが下がり、売上や新規顧客数が伸びているケースもあります。
つまり、CVR単体の上下で判断すると データ分析の間違い に陥りがちです。
回避策
- CVRだけでなく、セッション数・購入数・客単価・粗利までセットで見る
- 「母数が変わっていないか?」を最初に疑う
- 新規とリピーターでCVRを分ける(混ぜると解釈がブレる)
あるある3、平均値に騙される(外れ値と分布を無視)
「平均客単価が上がった」は良さそうですが、実は一部の高額注文が増えただけで、多くの注文は変わっていないことも。平均は外れ値に引っ張られます。ECだと法人まとめ買い、転売っぽい大量購入、特殊な高額商品が混ざるだけで数字の印象が変わってきます。
回避策
- 中央値(メディアン)や四分位(上位25%など)を見る
- 分布(ヒストグラム)で「どの層が増減したか」を確認
- 外れ値を除外した指標も併記し、両方で結論を出す
あるある4、全体最適で見てしまい、セグメントの悲鳴を見落とす
ECサイト全体の売上・CVRが横ばいでも、実は「新規は悪化、リピーターが改善」「スマホは悪化、PCは改善」など、セグメントごとに真逆のことが起きます。ここを見落とすと、原因特定が遅れ、打ち手も外れます。
これは典型的な データ解釈の失敗 です。
回避策
- 少なくとも「デバイス」「流入元」「新規/既存」「カテゴリ」を分ける
- セグメントの粒度は、施策の意思決定に使える単位に揃える
- 変化が出た層から優先的に深掘る(全体から掘ると迷子になる)
あるある5、「在庫」「欠品」を数字に織り込まない
ECサイトデータあるあるとして、欠品の影響を無視して「需要が落ちた」と判断してしまうケースがあります。広告クリックはあるのに売れない、ランキングは高いのに売上が伸びない、それ、在庫が薄くて購入できないだけかもしれません。
欠品や配送遅延は、CVRや売上を静かに破壊します。
回避策
- 欠品SKU数、在庫日数、入荷予定をKPIと一緒に見る
- 「販売機会損失」を推定する(閲覧数×想定CVRなど)
- 施策評価時は「在庫条件が同等か」を確認する
あるある6、広告のラストクリックだけで結論を出す(貢献の取り違え)
「この広告が売上を作った」と言いたいとき、ラストクリックだけで判断すると、指名検索やリターゲティングに成果が寄り過ぎます。実際には、上流のSNSや動画広告が「認知」を作っていたのに、評価から外れて予算を切られ、数週間後に売上が落ちる……という悲劇も起きがち。これも数字の罠です。
回避策
- 初回接触(ファーストタッチ)やアシスト指標も見る
- ブランド検索数、指名流入、リピート率など間接指標を併用
- 短期ROASだけでなく、LTV寄与の仮説を持つ
まとめ 大事なのは「数字」ではなく「問いの立て方」
データ分析の間違いは、スキル不足というより「急いで結論を出したい心理」から生まれます。だからこそ、見る前に次の3つを自分に問いかけてください。
- その変化は「分母」が変わっていないか?
- 「どのセグメント」で起きているか?
- それは因果か、それとも同時に起きただけ(相関)か?
失敗から学ぶことで、データは「判断を誤らせる罠」から「意思決定を助ける武器」に変わります。ECの数字は毎日動きます。だからこそ、焦らず、疑い、確かめる。それが最短の改善ルートです。

