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勘に頼らない!データを元にした「失敗しない」商品企画の進め方
「売れそうな気がする」「たぶんこの機能が刺さる」。商品企画の現場では、経験や直感(勘)が強力な武器になる一方で、根拠が薄いまま進めると手戻りや在庫、開発コストの増大につながりがちです。そこで重要なのが、勘を否定するのではなく、「勘をデータで検証し、再現可能な意思決定に変える」こと。ここでは、データを使った商品企画の進め方を、実務で使える形に分解して紹介します。
失敗しないビジネスの第一歩は「課題の定義」をデータで固める
商品企画で最初にやるべきは「何を作るか」ではなく、「誰の、どんな困りごとを、どの状況で解決するか」を言語化することです。ここが曖昧だと、以降のデータ収集も分析もブレます。
使えるデータ例
- 既存顧客の問い合わせ内容(VOC:Voice of Customer)
- 解約理由、返品理由、レビュー(ネガティブ含む)
- 検索キーワード(自社サイト内検索、Google Search Consoleなど)
- 営業日報・商談ログ(CRM)
- SNS投稿やコミュニティでの相談内容
ポイントは、「声の大きさ」ではなく「頻度×深刻度×支払い意欲」の観点で課題を優先度付けすること。たとえば問い合わせが多くても「手間はあるが我慢できる課題」より、頻度は少なくても「のっぴきならないクリティカルな課題」の方が価値が高い場合があります。
仮説→検証の型を作る:勘とデータを対立させない
「勘」と「データ」は対立する関係ではありません。勘は仮説生成、データは仮説検証です。失敗しない商品企画では、この役割分担を明確にします。
仮説の書き方(テンプレ)
- 対象:誰が(ペルソナではなく「行動」で定義)
- 状況:いつ/どこで/何をしている時に
- 課題:何が障害になり
- 価値:何ができるようになれば喜ぶか
- 成功指標:それが解決されたと判断できる数字は何か
ここまで決めると、データを意思決定に役立てるために必要な指標(KPI)が自然に決まります。逆にKPIが決まらない企画は、価値が曖昧な可能性が高いです。
"作る前"に市場性を測る:データ商品企画はテストが先
商品を作ってから売るのではなく、売れる確度を上げてから作る。これが失敗しないビジネスにつながります。
作る前にできる検証(低コスト順)
- キーワード需要の確認:検索ボリューム、関連クエリ、季節性
- 競合調査の定量化:価格帯、レビュー数、評価分布、差別化点
- 簡易LP+広告テスト:クリック率(CTR)、登録率(CVR)で需要を見る
- 予約販売/事前登録:購入意志が最も強い指標
重要なのは、早い段階で「お金」を払ってもらえるかを測ることです。アンケートの「欲しい」は過大評価されやすいので、行動データ(クリック、登録、購入)を優先します。
企画の骨格は「セグメント×提供価値×価格」でデータ化する
データを元にした商品企画では、以下をセットで設計します。
- セグメント:属性よりも行動・状況で切る(例:初回利用者/リピート/代替品から乗り換え検討中)
- 提供価値:機能の羅列ではなく、得られる成果
- 価格:競合比較と支払い意欲(WTP)のバランス
価格は勘で決めると失敗しやすい領域です。簡易的には、広告やLPで価格パターンを変えたA/Bテスト、もしくは見積り提示→受注率の差で推定します。最初から完璧を狙うより、データで「勝ち筋の価格帯」を絞るのが現実的です。
開発中も意思決定に必要なデータを持ち続ける:進捗ではなく学習で管理
商品企画が失敗する典型は、開発が進むほど引き返せなくなることです。これを防ぐには、プロジェクトの評価軸を「進捗」ではなく「学習(不確実性がどれだけ減ったか)」に置きます。
ゲート(意思決定の関門)例
- 課題の存在が確認できたか(VOC/観察で裏取り)
- 需要があるか(LP・予約・購入意志)
- 継続価値があるか(リテンション、リピート兆候)
- ユニットエコノミクスが成立するか(粗利、LTV/CAC)
ゲートを越えない場合は、撤退やピボットを「失敗」ではなく「データに基づく最適化」として扱えます。
リリース後が本番:失敗しないためのKPI設計
リリース後は、見栄えの良い指標(PV、DL)より、事業に効く指標に絞ります。
最低限追うべき指標
- 獲得:CTR、CVR、CAC
- 利用:アクティブ率、主要機能の利用率
- 継続:リテンション、解約率
- 収益:ARPU、粗利、LTV
- 品質:返品率、問い合わせ率、NPS/レビュー
データに基づく商品企画の肝は、これらをダッシュボード化して、週次で仮説→施策→検証のサイクルを回すこと。勘で「なんとなく改善」ではなく、数値で「どこがボトルネックか」を特定して打ち手を選びます。
まとめ:勘を「再現性ある武器」に変えるのがデータ企画
勘は企画のスピードを上げますが、勘だけでは再現性がありません。データを使えば、仮説の精度が上がり、意思決定が透明になり、撤退も早くなります。つまり失敗しないビジネスに近づくということです。
今日からできる第一歩は、企画書に「誰の課題か」「成功指標は何か」「それを測るデータは何か」を必ず書くこと。勘を起点にしつつ、データで確かめる。この型が、失敗しない商品企画を作ります。

